プロジェクト概要

「ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!」(NHK)

2017年4月にスタートした教養バラエティー番組『日本人のおなまえっ!』。古舘伊知郎さんとNHKアナウンサーが司会を務め、「なぜ記入例といえば“山田太郎”?」「どうして沖縄の名字は独特なの?」「ダイスケの“スケ”の字のちがいは何?」など、人名に関するあらゆるギモンを解き明かしてきました。

2018年度からは、“おなまえ”の解釈をさらに広げて、人名だけでなく「芸名」「あだ名」「地名」「料理名」「動植物の名前」など、ネーミングに関する謎を解決しています。
番組に関わっている制作スタッフは、NHK局員や社外・フリーのディレクターを合わせておよそ30~40名。6人程度のスタッフが1チームとなり、2~3カ月で1本の番組を作ります。制作期間中はNHK局内のスタッフルームに常駐して作業をしています。

プロジェクト名ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!
取材対象番組出演者
PDN担当者酒井健人(Director)
取材前の印象ネットで得られる情報はほんの一部

取材の進めかた

ネットの情報は入り口。その奥には取材でしか迫れない

制作期間を3カ月とすると、最初の1カ月で大きな《くくり》と《ネタ》を決めます。ここ最近でいうと、「北海道スペシャル」「東京おなまえツアー」「秋のスポーツスペシャル」などに携わりました。

たとえば「北海道スペシャル」では、「夏の観光シーズンに向けて追い風になるような企画を」というNHKからの要望を受けて調べてみると、国内一大観光地である北海道が2018年に「北海道」と命名されて150年という節目を迎えることがわかりました。
これが大きな《くくり》です。そこから放送時期にマッチするニュースや情報をさらに掘り下げていき、番組内で紹介する《ネタ》をリサーチしていくのです。
一口に北海道と言っても幅が広いので「おなまえ番組として描ける情報」を図書館やインターネット、電話取材で探し、「地名の命名ヒストリー」が面白いとか「苗字の成り立ち」がユニークという情報を集めていきます。視聴者の疑問も募集していますので、それについて調べる場合もあります。

ここで私が大切にしているのは「仮説を立てる力」です。

「『男爵いも』の男爵って誰?」という情報は、ネットでいくらでも見つけることができます。ただ、男爵の親族(今、親族は都内在住)に、当時のお話を伺えればまた新しいストーリーが出てくるかもしれないなどイメージを飛躍させて、多角的な話の広がりを意識していくのです。
命名の由来や苗字の成り立ちは非常にニッチな情報ですので、研究者に問い合わせても知りたい情報が出てこないことがほとんどです。そんなときは命名した人の気持ちを想像してみたり、研究者の方の意見を物語仕立てにして伺うと、聞きたい情報を理解してくれるのですごくスムーズですね。

『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』の担当ディレクター 酒井健人
『ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!』の担当ディレクター 酒井健人

取材・企画ノート

視聴者を置いてきぼりにしない、同じ目線の演出を

他のディレクターと力を合わせながら、持ち帰ってきた材料をもとに構成台本を書き始めます。集めてきた情報の面白い部分がしっかり栄えるような構成や演出手法を考え、プロデューサーや総合演出と意見を交えます。
ここでは放送にも乗り切らない細かい情報を持ち寄って会議をするため、リサーチの大切さに気付かされる作業フェーズです。
放送の1カ月ほど前から本格的なロケをします。たとえば研究者のインタビューでは、アカデミックな部分はしっかり語っていただきつつ、一般視聴者を置いてきぼりにしない、やさしい言葉のセレクトを意識してもらいながら質問を進め、素人目でもリアクションしやすい、わかりやすい撮影を心がけています。

収録までの時間は限られているので、スケジューリングにも頭を使います。ロケと平行して編集をすることがほとんどですね。この時期はロケに行った翌日は編集、その翌日は別のロケへ……と、一番忙しい時期だと思います。 収録を終えたら放送に向け、スタジオリアクションとVTRをまとめて1番組45分に収まるように編集していきます。ここまできたら私たち、取材ディレクターの作業はほとんどないので、次の放送に向けて企画立案から動き出すイメージです。

酒井健人

見せ方・魅せ方のアイデアもPDnetworkの強み

「北海道スペシャル」では、ニセコも取り上げました。もともとは「ニセコアンヌプリ」というアイヌ語を由来とした地名だったのですが、当時、市役所の職員をされていた方が命名に関わっていたことを知り、当時の再現VTRに本人役として出演していただきました。
こうした演出や情報集めについての自由度、時間の長さをしっかり取れるのはNHKの特徴かもしれませんね。演出でいかに面白く見せるかという部分を、かなり自由な裁量で許されています。

また、「東京おなまえツアー」では、《秋葉原》という地名の由来を取り上げました。「秋葉大権現」という火除けの神様を、火除け用のスペース「原」で祀ったことから“おなまえ”が付いたのですが、その「原」にだんだんと見世物小屋が増えてきて、人が集まりエンタメを楽しむスペースへと発展していったようなのです。
現代の秋葉原のイメージにつながる話を知った私は、秋葉大権現を祀っている秋葉神社の宮司さんにお願いをして、神社の境内にステージを作らせてもらい、これまた再現ドラマを撮らせてもらいました。

酒井健人

プロジェクトのポイント

取材で得た情報をもとにした企画

「東京おなまえツアー」では、秋葉原へのロケに、ビビる大木さんと元AKB48の増田有華さんに行ってもらいました。「AKBがこの街で生まれたのは運命を感じますね」という増田さんコメントに合わせて、秋葉神社の宮司さんにも「『原』からエンターテインメントが盛り上がっていったのは知りませんでした」という言葉をもらい、取材の大切さ再認識しました。

台本

制作実績

視聴者からの反響を聞けるのが醍醐味

ネーミングバラエティー 日本人のおなまえっ!
https://www.nhk.jp/p/onamae/ts/14W3P3322N/

誰もが聞いたことがある“おなまえ”の、誰も知らないようなレアな情報を掘り下げて届けてしているため、「面白かった!」「縁がある場所の由来を知られてよかったです」といった声を聞けるのは、この仕事の醍醐味です。

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