CROSS INTERVIEW01

酒井健人ディレクター / 取材歴:7年田之頭洋一プロデューサー / 取材歴:27年

ディレクター酒井と彼をデビュー時から見守ってきたプロデューサー田之頭。同じ制作班で活動することも多いという二人。これまでのことや取材・番組制作に対する想いなど、お互いにインタビューしました。

  • 酒井健人酒井健人NHK「日本人のおなまえっ!」、テレビ東京「ありえへん∞世界」など、情報番組やバラエティー番組の制作で着実に実力を伸ばす若手ディレクター / 取材歴:7年
  • 田之頭洋一田之頭洋一テレビ東京「カンブリア宮殿」、フジテレビ「ニュースJAPAN」を始め、情報番組のほか、バラエティー、ドラマまで数々の番組を手掛けるプロデューサー / 取材歴:27年
CROSS INTERVIEWSIDE : A

語り手

酒井健人

ディレクター

聞き手

田之頭洋一

取材歴:27年

会ったことがない人に会い、
行ったことがない場所に行く。
それがこの仕事の醍醐味です。

ミスが多すぎて、逆にみんな優しくしてくれました

入社のときから酒井を知ってる身からすると、こうして話すのが逆に初めてみたいな感覚だね。酒井ってなんでこの世界に入ったんだっけ?

酒井

もともとはスチールのカメラマンになりたくて映像の専門学校に通ってたんですけど、そこに講師としてきていたうちの代表(田辺)の話がすごく面白くて。授業でテレビの制作現場に行ったときも、ホントみんないきいきしていてカッコよかったんですよね。
そうして飛び込んだテレビ制作の現場ですが、最初はホント使えなかったと思います(笑)。田之頭さんがディレクターだった関西ローカルの通販番組が僕のデビュー戦だったんですけど、商品が次から次へとやってきて、物撮りも多く、搬入出の段取りがバラバラでとにかく必死。毎日忘れ物ばっかりしてました。
「とにかくメモを取れ! 首からメモ帳下げとけ!」って田之頭さんがわざわざネックストラップを買ってきてくれたの覚えてます? 正直「本気で?」と思いましたけど、先輩にそんなこと言われたら断れませんしね、馬鹿正直にしばらくメモ帳をぶら下げていました。

そんな時代からいまの酒井を見てるとすごく成長したのがわかる。自分としてはどんなことが成長のきっかけだったの?

酒井

『ありえへん∞世界』(テレビ東京)の外部スタッフとして、2年間テレビ局内に常駐した経験が大きかったです。レギュラー番組の制作をしていると、こうした形態で仕事することも結構あるんですが、フリーのディレクターさんもまわりに多くて……かなり強めの荒波にもまれました(笑)。
業界の猛者に囲まれて思いどおりにいかないこともありましたけど、アポ取りや電話応対、取材の申し込みといったテレビ制作の基本から、現場の回し方や演者さんへのケアなど、いろいろな視点をまわりの大人から盗んでまわった感じです。

仕事の基本は「人」。いつでもどこにでも会いに行きます

最近うちでも海外案件をやってるけど、ほとんど酒井が手をあげてるじゃない。ホントどこにでも行くよね。

酒井

やっぱり仕事の基本は「人」だと思ってて。ゴールデンの番組だと関係する人が本当多くて刺激になりますし、取材対象者についても国内外問わずに誰にでもすぐ会いに行きたい。行ったことのない場所で、会ったことのない方と、聞いたことのない話をするのが大好きなんです。
海外っていう非日常の世界を日常として暮らしている人がそこにいるわけですからね。カメラ構えて、その光景を持って帰れるのはこの仕事の醍醐味ですよ。世界を揺るがすような事件が起きて、そこに「行かない」っていう選択肢が僕の中にはありません(笑)。

“これから”は? 何かイメージしてる自分の将来像ってある?

酒井

まずは目の前のことを一つ一つではあるんですけど、日本に暮らす自分たちの日常を日常としない“外からの視点”を大事にしていきたいな、と思っています。2020年もありますしね。会社もそう、仕事もそう、社会との接点を強く感じる立場ですし、まさに“これから”の世代を担っていく人材として活躍できたらいいなと思ってます。

CROSS INTERVIEWSIDE : B

聞き手

酒井健人

取材歴:7年

語り手

田之頭洋一

プロデューサー

誰が見るのか、誰のための番組なのか。
目指す場所をしっかりイメージすること。

段取り9割!どこにいっても通じるスキルだと思う

田之頭さんを嫌う人が業界にいないんですよ。たまにいるじゃないですか、取材対象者に無理難題言って困らせる人とか、頭ごなしに怒鳴り散らしてスタッフに嫌われるとか……。

田之頭

別に好かれようと意識してるわけじゃないけどね。きっとこの仕事が楽しいだけなんだと思う。酒井も言ってたけど、いまやってるのが「人」を相手にする仕事である以上、飽きないしさ、面白いんだよとにかく。
俺が映画を見て、感動して震えて涙を流した経験とか「こんなん見たことねえ!」みたいな言葉にできない感情の送り手になれたらいいなって、いつでも思ってるよ。正直に言って、15%の視聴率よりも1人2人から届く「面白かったです!」ってメールの方が断然うれしいからね。

ディレクターとして必要な要素ってどんなところだと思いますか? 僕は事前の段取りがほぼすべてを決めると思ってるんですけど。

田之頭

まさにそこだよ。スタジオ収録だったら、舞台の転換やちょっとした間が生まれるのを先読みしてゲストを待たせないこと。「この時間はなんの時間だ?」って思われないように意識しないとね。
あとは番組が誰のためのものなのかをちゃんと考えなきゃな。たとえば通販番組の場合、商品を見せて、その魅力を引き出して、できるだけ多くの人に買ってもらうってところが目的地なわけじゃない。それはきっとどの番組でも同じで、商品が人だったり、場所だったり目指すところが「購入」ではないかもしれないけど、人の心に何かを残して行動させるってことにおいては同じ。そこで作用する《テレビの力》は、まだまだ大きいと思うな。

生きること、死ぬことの意味を番組づくりで知った

僕はまだ経験が少ないんで「これ!」というものが少ないんですが、田之頭さんがこれまで担当した番組や取材現場で、忘れられないエピソードってありますか?

田之頭

『久米宏のがん戦争』って医療ドキュメンタリーを作ってたとき、ある白血病の子供に密着することになったの。ご自宅に伺って、自分一人でカメラを回して、ご家族ともいろいろ話せるようになったこともあって本人との距離感を間違えたんだな。
言っちゃいけないと知りつつも思わず「頑張ろうね」って声をかけちゃった。そしたらすごく悲しそうな顔をしてね、静かに俺の目の奥を見て「何を頑張ればいいんですか?」って聞かれてさ。オンエア後、半年してその子は亡くなられたんだけど、お参りにいったとき番組のVHSが仏前に供えられてて、涙が止まらなかったよ。
他の取材対象の方もそうだったけど、死を覚悟している人から伝わってくるものは確かにある。苦しくてのたうち回ってるけど、最後の瞬間、絶対に輝くときがくるからそれを撮ってほしい、って思っているのを感じるんだ。死を意識して生をまっとうする人の姿を目の当たりにしたのは、自分の死生観にもかなり影響してるな。

「頑張ろうね」のくだり、番組でそのまま使ったんですよね。先輩の担当番組も後から共有することが多くて勉強になることが多いです。うちの会社って人を育てる意識が強いと思いません?

田之頭

面倒見がいいよね。いわゆるテレビ業界って徒弟制度というか親方・師匠とそのお弟子さんみたいな構図、超縦社会みたいなイメージがあるかもしれないけれど、うちの場合はなんだろうな、ちゃんとスキルが継承されていくというか。
人に教えたり、こうして膝を突き合わせ話すことってアウトプットだけど実はインプットしてる部分もあると思うんだよね。俺たちの仕事ってさ、映像と音楽と言葉を扱う仕事でしょう? 普段の生活やいろいろなところで受けた刺激やエッセンスを、その3つにいかにして入れていくかが腕の見せどころなんだよ。
酒井や他の若手スタッフがこれからもっと台頭してくるだろうから、時代時代に求められる最高のコンテンツを発信し続けていってほしい。それって絶対楽しいからさ。やっぱり楽しい仕事を続けていくのは、幸せなことだと思うよ。

Creator’s Profile

酒井健斗Sakai Kento

2011年ピー・ディー・ネットワーク入社。情報番組やバラエティー番組などに携わる。海外ロケがあると、必ず手を上げて取材に向かう行動派。趣味は写真撮影。

これまでに手掛けた番組・企画

ありえへん∞世界

カンブリア宮殿

日本人のおなまえっ!

など

田之頭洋一Tanogashira Yoichi

テレビマンユニオン、オフィス・トゥー・ワンを経て2010年ピー・ディー・ネットワーク入社。映画撮影の現場からキャリアをスタートし、ドキュメンタリーからドラマまで幅広いジャンルをこなすプロデューサー。年間数百本を観るというほどの映画マニア。

これまでに手掛けた番組・企画

ビートたけしのTVタックル

ドラマ あした吹く風

ザ・ノンフィクション

など