2024年8月11日更新

企業PR動画でカッコいい動画を作りたいと言われたら

企業PR動画でカッコいい動画を作りたいと言われたら

企業がPR動画を制作するとき「カッコいい動画を作りたい」と考えて制作に取り掛かるケースも多いのではないでしょうか。でも『「カッコいい動画」ってそもそもどんなもの?』『それは企業PR動画を制作する目的にあっているの?』といった疑問も生じていませんか?

今回は、「カンブリア宮殿」「WBS(ワールドビジネスサテライト)」「日経ニュース プラス9」などをはじめとした経済・ドキュメンタリー番組の企画制作を数多く行ってきた株式会社ピー・ディー・ネットワークから企業PR動画制作の経験豊富なプロデューサーの中村と生田に、「カッコいい動画」って何?企業から「カッコいい動画を作りたい」とオファーされたとき、どのように制作に取り組むのか?聞いてみました!

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クライアントに求められる「カッコいい動画」とは?

中村:企業が「カッコいい動画」制作を考えるとき、一般の企業が考える「カッコいい」というのは、自分たちの話してる内容云々よりもその見た目のことを言っているのがほとんどですよね。編集がすごい凝っているものだったり、インパクトのあるものを求めていたり。お話を聞いてると多分そう思われてるんだろうなっていうことは感じます。

生田:「こんな感じで」と言って先方がイメージしている動画を共有してもらうときも、<シューシュー、シャーシャー>と何か(効果)が動いてたりとか、あとはちょっとドラマチックに撮ってたりとか、そういうイメージで漠然と持ってこられる方が多いなっていうのは感じます。つまり編集や演出のカッコ良さを期待されていることが多いです。

中村:初めてパワーポイントを使う人が演出モリモリで、引き算じゃなくて、「足し算で資料を作っちゃいました」という例えがわかりやすいかなと思います。特別意味のない効果(エフェクト)を希望されるということがあるんですが、我々は普段から動画映像に携わってるから、「そんな足し算いらないのにな」と思ってしまいますけど、普段から動画制作に関わっていない方にとっては、当然のことだと思います。そこを無下に全否定するわけではなくて、「これって何か意味ありますか」とか、「何回も見てたら結構飽きませんか」という話をすることで、すり合わせていきます。

オファーがあったときの手順

生田:まず何をもって「カッコいい」かを、擦り合わせするのが一番最初のスタートです。演出部分でカッコいいはいくらでも味付けすることはできますが、企業が伝えたい芯の部分と、視聴者に捉えられる「カッコいい」は結びつくのか?ヒアリングを重ねて擦り合わせしていきます。

中村:やはりちょっと語弊があるかもしれないんですが、その企業が「カッコいい」と思っているものは、結局その企業の「企業理念」だと思うんです。その会社が大切にしたいからその企業理念であったり、パーパスであったり、もちろん経営戦略があるわけです。だから、それが一番伝わる方法で表現してあげようと考えます。

なので、動画で社長がどんどん前に出るより、お客さんと触れ合ってる社員の方が、この経営理念を体現するには一番いいのでわかりやすいと考えれば、そう提案しますし、一番その会社の理念が伝わる方法を考えて演出します。

そういう見た目の格好じゃなくて、コアな部分が視聴者の方に伝わるのが一番「カッコいい」だと思うので、そのためには一つだけじゃなくて、こういう見せ方があります。そうやって三つ四つもちろん提案しますし、その中で一番いいところを探っていくという感じですね。

過去の経験で、お客様が希望する動画の見た目はカッコいいですけど、「これは御社の企業理念が絶対伝わらないです。むしろ混乱しますよ」ということもありました。どうしても今回はそれがやりたいんだというときは、できないことはないですけど、「これは、結果が出にくいと思います」と先にお伝えはさせていただきます。もし企業イメージを変えるという意味合いで、今回それをやるのなら問題ないですけど、単純に見た目がかっこいいし、新入社員に取ったアンケートからそっちの方がいいっていうふうなことであれば、ちょっと厳しいんじゃないかなってことは正直言います。

やはり時代時代で動画の演出に流行りがあります。特に今は昭和レトロとか、ブームが落ち着きましたけどシティポップとか、トレンドだったと思います。流行りを取り入れるのも悪くないけど、あまりにひっぱられるのはどうなのかなっていうのは思います。

生田:中村さんが言ったように、経営理念とか会社の思いをときほぐしながら、我々なりに咀嚼しながら、こういう動画はどうですかっていうところを提案していきます。その中でクライアントの持ってる「カッコいい」も、織り交ぜながら制作します。例えば同じ社員を写す映像でも、丸の内を颯爽と歩いてる方がイメージに合っているだとか、「カッコいい」のジャンルは実はたくさんあると思います。

そんな中で言うと以前取り組ませていただいたニチコンさん(日本コンセプト株式会社)のVTRは、働く人の姿にフィーチャーして撮影させていただきました。社長の思いが、人・社員を大切にしている企業でしたので、そこを会社の魅力として伝えたくて、ああいう働く人の姿をフィーチャーした動画になりました。

プロの動画制作者たちの考える「カッコいい動画」とは?

中村:それこそ引き算の動画です。日本の映像をくさすわけじゃないですけど、例えばニュース番組を見てても、とりあえず視聴者の目を引くために、右上にサイドテロップ、左上にもサイドテロップ、さらにサイドスーパーでどこを見ればいいかわからないぐらいの画になってることとか、結構テレビで散見されるんですよ。必要なものはあっていいのですが、やはり映像の本質ってテロップより写ってるものですよね。

センスのいい映像は、もちろん字幕も極力シンプルになるし、話している字幕も少しでいいのかなと思う。資料に関してもごちゃごちゃ書き込まずに作ったりして、やはり僕はできるだけシンプルに、画で勝負していくっていう、そういう映像が「カッコいい」なのかなと思います。

例えば、映像編集するにしても、ナレーションも結局味付けの一つだと思うんです。ただ、ディレクターによっては、ナレーション原稿を先に書いて、それをもとにそこに映像をはめていくっていう作り方をしている方いらっしゃると思います。否定するわけじゃないですけど、「それって結局塗り絵じゃないですか」と思ってしまう。

でも、僕の尊敬するディレクターであったり、映像を作るのが上手いなっていう人は、ナレーションはもちろん、後なんです。やはりあくまでも画を中心に、画で繋いでいって、そこにナレーションがあって。画を先行で繋げていってるので、見ていて気持ちがいいんですよね。

やっぱり映像を中心に、味付けは本当に極力最低限の塩だけでいいです、という感じです。

生田:まさに僕も同じです。塩とコショウで綺麗にまとまるのであればそれがいいですし、料理に例えるなら、どんな野菜を使うかとか、どう調理するかっていうところで「カッコいい」を作って、あとは素材の味を生かして塩だけにするくらいが、カッコ良いと思います。

中村:だから素材が良くなければいけないってことは当たり前ですし、そこを引き出すっていうことが重要です。「この人、もっと喋れるはずなのにな」っていうことだったらディレクターが引き出してあげるということを意識しています。徹底的に取材するとか、結局その場で引き出すというのが肝になってきます。

ピー・ディー・ネットワークが意識しているところ

中村:とある企業から、オンラインセミナーで使う動画の制作を依頼をいただき、画作りのイメージを共有するために、先方から提示されたのがプレゼンショーのTEDの映像だったんです。あのTEDの画の雰囲気や照明の当て方が「カッコいいと思うからやりたい」という希望をいただきました。

実際それを見て、確かにこれはこれで「カッコいい」のですが、ただ、それはTEDの世界観であって、依頼をいただいた企業のイメージとは真逆でした。現状、その企業のホームページでは真っ白なところに、パステルカラーのフォントとかのカラーが使われていて、どう考えてもイメージが違いました。「今後、こういう方向に走るんですか?」と確認してみたら、「確かにそうだね(違うね)」ということがありました。

やはりご自身ではこれがカッコいいと思った映像に目が行きがちですが、トータルブランディングを考えたときには、逆の方向だったという。ちょうど今、案件進行中なので最終的にどこに着地するかはわからないですが、そんな時は僕たちが軌道修正したり、提案させていただきます。逆に、依頼元の企業様から「いやいやこういう想いがあるんだよ」という意見をいただいて、僕たちが納得することもあります。

僕は依頼元の企業担当者に、演出とか最近のトレンドに関して意向をよく聞いています。それは、その通りにしたいという意味ではなくて、お客様がそう言ってるんだけど、実際そのお客さんが本質の部分とあってるのかなっていう確認のために聞くようにしています。

ズレていることを言われた場合

生田さんはどうですか?明らかに本質とズレているなという希望をいただいたときは?

生田:クライアントから、最新の映像手法とか、「最近見てカッコいいと思ったんですけど」みたいな話をいただくことはありますが、それがそのクライアントにマッチする・しないの判断を僕たちがしっかりしてあげないと、と思っています。

中村:明らかに、これは実写でやった方が伝わるというケースで、アニメーションを使いたいっていうふうお客様はいらっしゃったり、その逆も然りですけど、そこから軌道修正してあげないと、絶対ゴールにはたどり着かないなと。

生田:クライアントの意向を伺うと「カッコいい」が先行し過ぎちゃってることが多い気がしていて、<何を伝えたいのか>が置いてきぼりにされていると感じることがあります。やはり動画を作る目的は「これを伝えたいから、カッコいい動画にしたい」のはずなのに、ちょっと順序が逆になっちゃうときがあります。

中村:それが数秒の広告で、インパクト勝負だったらいいのかもしれませんが、学生さんにこの3分間、会社のことを紹介していきますよっていうときに、トンマナもイメージも違うようだと、企業の魅力が伝わらない。社会に役立つエコ取り組みをしている企業なら、学生もその想いに賛同してこの会社で仕事をしてみたい、自分が培ってきた知見を役立てたいと感じて来ているのに、全く真逆のど派手な演出が行われているような会社紹介動画だったら気持ちが引いてしまう可能性がありますよね。

まとめ

中村:「カッコいい」方が人を惹きつけると思うのは当然のことで、僕たちもそう思っていました。ただ、プロとして動画制作をするときに大切なのは、できない(からやらない)のではなくて、引き算することだと思います。あえてやらない、引き算できるのが重要だと思います。

生田:話を整理すると「カッコいい動画」に大切なのは「引き算」というのが我々の考えですね。塩をコショウで食べたい派です(笑)

よくあるご質問

Q.制作費用はいくら?

A.演出手法や撮影内容、動画の長さによって価格は大きく変動します。
ピーディーネットワークでは、お客様のご要望をしっかりとヒアリングし、ご予算にあわせた演出を提案しております。

 

Q.制作期間はどれくらい?

A.キックオフから2~3か月が一般的な制作スケジュールです。
もちろん、1か月や数週間といった短期間での制作~納品にも対応しております。

 

Q.具体的な動画イメージがなくても相談できますか?

A.もちろん相談可能です。
ピーディーネットワークではキックオフ前から丁寧なヒアリングを行っており、コンセプトの設定からご一緒させていただく事例も多くございます。是非お気軽にご相談ください。

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この記事の監修者

PDN 動画ブランディング事業部

動画制作・TV番組制作・メディアコンサルティングを専門分野としています。これまで経済・ドキュメンタリー等のテレビ番組制作を主事業としてきた当社が、「取材力」を起点とした良質なコンテンツ制作に関する情報を発信していきます。

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